ある人から連絡が入った。
「あのぉ~、2月の認知症セミナーの申し込みをしたいんですけどまだ早いですか・・・・?」
電話の声ですぐわかった。みま~もレストランやセミナーに毎回参加してくださっているHさんです!
うつのため、ご主人とともに、他者との交流を一切していなかったHさん。
初めて当包括支援センターに訪れたときに、うちの職員に勧められ、介護予防教室に参加。今では、毎月開催されているレストラン、セミナーと、参加し続けている。
ご主人との二人暮らし・・・。
Hさん: 「あっ沢○さん!」
私 : 「Hさん!いいですよ。この電話で認知症セミナーの申し込みしておきますよ 」
Hさん: 「沢○さん、せっかくだからもうひとつ話していい?じつは、認知症セミナーに行こうと思っているのは、どうやら夫が認知症になったらしくて・・・・。先のことを考えたら、もうどうしていいか・・・・」
すでに、うちの職員に相談し、当院の物忘れ外来を受診。アリセプトも処方されている。
私 : 「お父さんは今、毎日どんな感じなんですか?」
Hさん: 「人の気も知らないでマイペース・・・。みま~もレストランとか一緒に行く人ならいいんだけど・・・。自宅にこもって、孤立老人の代表のような生活しているわ。そうかと思うとプラッと出かけて・・・。この人を見ていると、私もどうにかなりそうよ・・・・。」
私 : 「 大丈夫! ご主人は以前と変わらずに、マイペースに自分らしく生活しているんですよね。出かけても、また、Hさんの家に一人で戻ってくる!早く診断を受けて薬も処方されたんですよね。この薬はね、早く処方を受ければ、効き目の効果も大きいんですよ!
他の人もそうだけど、Hさんぐらいの年齢になると、みなさん一つやふたつの病気を抱えながら生活してるんですよね。それがご主人は認知症という病気だったというだけ。
薬も飲んでいて、今は普段どおりの生活で進行もしていない・・・。ご主人は以前と変わらないご主人でいるんですよ!
Hさんがどうにかなってどうするんですか!先のことは今は考えないでいましょ。
今までどおり、そう普段どおり!ご主人に留守番してもらって、セミナーやレストランにどんどん出てきてくださいね!」
Hさん: 「それでいいのかしら?」
私 : 「それでいいんですよ!Hさんが心ふさいでいたらご主人もわかりますよ!心配もするでしょう。今のご主人に、もし、気になる症状が出たら、私たちがHさんにはいるじゃぁないですか!」
Hさん:「そうね、いつでも相談していいの?」
私 : 「あたりまえでしょ!私じゃぁなくったって、うちの職員でもいい。レストランにいるメンバーに言ってもいい!Hさんは一人じゃぁないんですよ!」
みま~もを発足してから、私はほかの相談者にもそうですが、心からそう言えるようになりました。
地域に寄り添おうと、ともに歩んでくれている様々な専門職たちがこの地域にはいる。
地域に暮らす人たちの「安心」とは何なのか?そのために、専門職である自分たちに何ができるのか?それを考えて、3年間歩んできた専門職たちがいる。
「おおた高齢者見守りネットワーク」を発足して3年が過ぎた・・・。
元気にレストランやセミナーに参加している人たちの中にも、医療や介護を必要とする人たちが出てきている。
しかし、私たちは、元気だった頃のその人を知っている。そして、その人たちも、私たちがどんなときに必要で、どんな専門の人たちなのかを知ってくれている。
だからこそ、何かあったときに、まっすぐにその人に向かうことができる。
早期に関わることができる。その人のことをすべてわかって、一歩踏み込んだ専門性を発揮することができる。
Hさん: 「ありがとう・・・。何か、沢○さんの声を聞いて元気が出てきたわ!これからも相談していいのね。力になってくれるのね?」
私 : 「当たり前です!みま~ものみんながHさんにはいるんですからね!」
これでいい・・・・。
自分たちが暮らしているこの地域には、自分たちが気軽に何でも相談していい専門職たちがいる。
ここの包括支援センターにも、レストランの会場である施設にも、セミナーに行けば、黄色いジャンパーを着ている大勢の人たちがいる。
そう思ってくれている人たちが、地域じゅうにいる。そうなるために、会を広げているんです。日々、努力しているんです。
医療・福祉の専門職が、地域に寄りそうとはこういうこと。
これからも、この地域に寄り添いましょう。ずっと・・・・。