朝9時前、いつものようにダイシン百貨店前の踏切を渡り、事務所への出勤途中。
前方から重そうな袋を抱え、歩いてくる70代半ばの女性が見えた。
「あれ?Fさん?」
そう、事務所のすぐそばに住んでいるみま~もサポーターのFさんです。
Fさんは、私に気づくと重そうな荷物を抱え早足で近づいてくる。
Fさん: 「お米屋さんで糠(ぬか)をもらって、今、公園に持って行くところなの!」
私: 「糠ですか?漬物を漬けるんですか?」
Fさん: 「ちがうわよぉ~。これから公園の葉がどんどん落ちてくるから、培養土を作ろうと思ってね!
この糠はそれに使うの。お米屋さんとは長い付き合いでねぇ・・・。今回はタダでいいよ!って10kgくれたのよ
」
私: 「10kg・・・・!!
僕が持つから一緒に公園まで行こう。」
Fさんの、「あんたは忙しいんだから・・・」、「事務所で多くの人が待っているんだから・・・」という言葉を聞かずに、私は糠を抱え、来た道を戻り踏切へ。
踏み切りに着くと、踏み切り前に住んでいるYさん(90歳代男性)が、家の前でニコニコしながら私たちにあいさつをしてきた。「おはよう
」
Fさん、私 : 「おはようございまぁす!」
Fさん: 「Yさんはね、電気屋さんをずっとやっていたのよ。私の家も電気製品が壊れるといつもお願いしてたの。
朝はいつもこうやって、外に出て踏み切りを通る人にあいさつをしているのよ!」
私 : 「知ってます。僕も毎日ここを通ると、Yさんが、笑顔で迎えてくれますから・・・! ねっ、Yさん!」
Yさん: 「そうだねぇ~。いい場所に住んでいるよ。外に出ればいろんな人とあいさつできるから
」
Fさん: 「そうそう!人と会うのが一番のリハビリよね!じゃぁ、Yさんまたね!早くこの糠を公園に持っていかなきゃいけないから!」
こうしてFさんと私は、Yさんに送られながら踏み切りを渡り公園へ!
公園に向かう歩く道すがら、Fさんはボソッと私にこう伝えた・・・。
「最近、私思うの。こうやって元気に歩いたり、何かをしたりできる時間というのは限りがあるって・・・。
でもね、だから元気でいる今を、精一杯生きていこうと思うのよ。そう思えるようになったの!」
私は笑顔でうなづいた・・・。
何も答える必要などない、意見を言う必要もない、言える言葉など見つからない。
ただ、
「私もそう思います!」 と心に思い、笑顔をFさんに向けました。
そうそう!答えなかったのにはもう一つ理由がありました!
Fさんと会ってから、ず~~~~~~っと10kg の糠を持ち続け、体力の限界が訪れ始めていたのです・・・
公園に無事到着!私は急いで事務所に向かいました。
朝の、数十分間の出来事です。
でも、「さぁ、今日も一日がんばろう!」と、力をもらうには十分なちょっとした出来事でした。
Fさん・・・、ありがとう。
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