大田区発の地域包括ケアシステム-おおた高齢者見守りネットワーク(みま~も)

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2009.11.4あなたの名前を待ってます!
  •  私が入学した県立高校は、川崎では歴史のある高校で、60年代・70年代には、東京大学などに何人も卒業生を送り出した名門校だったらしい・・・。
     60年の安保闘争時代には、当時の大学の学園紛争の影響で、自主自立、そして自由というものについて、生徒たちが教師たちと真剣に議論を交わし、学校のあり方を形作っていった。
     当時は、中間・期末試験などがなく、通信簿は話し合いで決められる。そのようになっても、国立、私立を問わず、有名大学に入学する生徒が大多数だったという。生徒会はなくなり、運動会や文化祭などは、生徒たちが自主的にやろうという声が上がらなければ行われない。
     修学旅行は当時では珍しく、場所から日程、期間などすべて生徒が決めていた。決められた制服もなかったが、私服を毎日考えることを手間と感じている生徒は、思い思いの制服を着用してきていた。ある意味「私服」だったのかもしれない。
     時が流れて80年代。この高校の門を私はくぐった。60,70年代のような、進学校ではなくなっていたが、当時から受け継がれてきた歴史は、多少なりとも残っていた。
     入学して最初の日。教室で先生を待っていると、先生より先に現れたのは先輩たち。この学校の歴史について、自分たちで作った資料をもとに説明してくれた。
     「この学校は一人ひとりの自由を尊重する。だからこそ、本当の自由を履き違えないでほしい!」
     リーゼント、髪の毛を染めている、学ランには刺繍・・・・、そんな先輩たちが熱く新入生に語りかける。制服がないので、当然決められた上履きもない。土足の生徒も正直いた。でも一方で、土足なのだからキチンと掃除をしようと呼びかける生徒もいた。
     私はこんな母校が大好きになった。そして誇りにも感じていた。
     そして1年生の秋、先輩たちとある計画を実行した。それは、自分たちが暮らすこの川崎に、子どもたちがいつでも舞台芸術に触れることができる、「ホール付き児童会館建設」の署名を行おうというもの。
     当時の川崎市には、演劇を鑑賞できる会館が少なく、とくに児童も鑑賞できるような会館となると皆無でした。
     そのような中、地域で暮らす母親たちが中心となり、ホール付き児童会館建設要望の機運が高まっていて、私たちの高校でも、「何か出来るのでは?」と、活動を始めたのでした。
     ちなみに、私、自分で言うのも変ですが、優等生ではありませんでした。このようなことを普通にやってみようと感じることができる学校の空気が、私を揺り動かしたのかもしれません。
     みんなで話し合い、署名実行は昼休み。場所は、みんなが一番集まる学生食堂前。生徒全員に知らせるチラシも、みんなで考えて作成。顔と手をまっ黒にして刷り上げました!
     それぞれが自分のクラスで、この署名の意義について説明。勇気が要りましたが、「自分たちもそうだけど、自分たちに続く子どもたちに、ホンモノの舞台芸術を観せることって大事だよね!後輩たちがいいものを観て、まっすぐに育ってこの学校に入ってくれれば、俺らだってうれしいじゃん!!」
     緊張して、足はガクガク、声は震える中で、こんな風に呼びかけた微かな記憶が残っています。
     そして、「沢ちゃんこんなことやってるんだぁ」、「見直したよ」、「なんか手伝うことがあったら俺やるよ!」・・・。クラスのみんなが呼応してくれる。
     署名当日、日夜暴走族のリーダーとして励んでいたAくんが、族の知り合いとともに隊列を組んで、署名会場となった学生食堂にやってきた。署名をしてくれたばかりか、署名協力の呼びかけや、チラシ配りを族仲間とともに行ってくれた時は感動しました・・・びっくり
     それからまもなく、Aくんは学校を中退。その後の消息はわかりません・・・。この署名活動は生徒総数、確か1200名の学校で、1000名分の署名が集まりました。
     ホール付き児童会館は、その後紆余曲折がありましたが、私が20歳の時に、麻生区で建設されました。
     児童演劇の仕事を始めてから、この会館で何回か公演を行いましたが、高校時代の署名活動を思いだすと感慨深いものでした。
     「どんなことでも、真剣に向き合っていけば、必ずそこに仲間が集まり、実現させることができるはず!」
     これは、高校時代のさまざまな経験で培われた自分自身の信念です。あれから25年、この信念だけは揺るがずに生きてこれました。ここまできたんですから、これからもたぶん・・・、いえ、きっと揺らぐことはないでしょう。
    高校の全生徒に配布した署名協力のチラシはこちらをクリックしてご覧下さい。22年前のガリ版刷りですよ(笑)
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