大田区発の地域包括ケアシステム-おおた地域見守りネットワーク(みま~も)

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2011.9.19いのちのバトン・思いを受け継ぐ
  •  もう3回目かぁ・・・。
     入新井第二小学校6年生の担任 A先生から連絡が入った。
     「今年もぜひよろしくお願いします!」
     小学校6年生を対象にした認知症サポーター養成講座。
     我が包括支援センターで働き、今は仙台にいる絵描きナースの長女が、この小学校の6年生だったのが今から3年前。
     絵描きナースは当時の校長先生に、「認知症についての理解を子どもたちに伝えたい!」と、認知症サポーター養成講座を提案。
     大田区で初めての、小学生対象 「認知症サポーター養成講座」 を開講することとなりました。
     高齢事業課では、区内で初めての認知症サポーター養成講座ということもあり、「東北で、児童対象に講座をしている医師に頼みましょうか?」と提案してくれたのですが、絵描きナースからのたっての希望により、私が行うこととなりました。
     区で初めての小学生対象の認知症サポーター養成講座。
     核家族化が進んでいる都市部の小学生。高齢者と日常接する機会がない子どもたちに、認知症に対する理解、そして、自分たちに何ができるのかを考えてもらう。
     「むずかしい・・・・」
     考えた末に自分が柱に置いたのは、
     生命について考えること。
     今、ここに生きている自分というものは、長い人間の歴史の中でここに存在するということ。
     自分が生きていることを大切に思う、思えることができて、初めて他者を感じることができるんだということ。
     そこを柱に据えた認知症サポーター養成講座・・・。
     この柱をおいたとき、1冊の本にめぐり合いました。
    「お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい (扶桑社文庫)」
            ↓
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     ここに登場する鈴木康文さんの詩・・・。
     昭和35年6月生まれでの康文さんは、重度の脳性麻痺。康文さんは奈良県明日香村にある養護学校に通っていました。
     手足が不自由・・・。そして、言葉も話すことができないという、学校の中で一番重度な障害を持っていた康文さん。
     当時、奈良県では、身体の不自由な人たちが集う施設「たんぽぽの家」を建設しようという運動が起こり、その資金集めのために、障害者施設に通っていた子どもたちの詩に曲を付けて発表する音楽会を企画!
     康文さんは、誰よりも詩を作りたいという意欲を見せたそうです。
     「それでいいよ」というときには目を閉じる。
     そして「ちがうよ」というときには舌を出す。という合図を先生に送りながら、自分を一生懸命支えてくれているお母さんに詩をプレゼントしました。
     その詩が、「お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい」です。
     この題名を決めるだけで1ヶ月かかったと、この本の作者で、当時の担任の先生だった向野先生は話しています。
     この詩をお母さんに先生が渡したところ、翌日、おかあさんが康文くんにあてた詩を先生に渡しました。
     コンサート当日の舞台には、担任の先生が詩を朗読する隣りに、誇らしげににニコニコしているとお母さんの姿がありました。
     康文さんは昭和50年6月、風邪をこじらせて休んでいるときに、何かの弾みで枕で鼻と口をふさいでしまい、息を引き取りました。
     言葉の不自由だった康文さんは、来客の接待中だったお母さんに助けての声を上げられなかったのです。
     15年という短い生涯を終えた康文さん。
     それから37年が経過しています・・・。
     康文さん、そしてお母さんが夢見た「たんぽぽの家」は完成して30年を超え、身体の不自由な人への理解も少しづつですが進んでいます。
     しかし、それを可能にしたのも、康文さんたちの時代の障害者とその家族の経験と活動の積み重ねがあったからこそなのでしょう。
     この康文さんの詩を通して、
     
     自分の生命も、多くの生命のバトンを受け継いで、「ここにある」ということ。
     隣りにいる生命を大切にするということは、その人を知ることから始まるということ。
     知る、知りたいと思うことが、「その人の生命を大切」と思うことに必ずつながっていく。
     
     私は、講座を通してまず、このことを子どもたちに伝えています。
     
     この柱があって、認知症についての理解や老いについての正しい知識や理解について話していく。
     今年で3年目・・・。
     一人の母親の・・・、いえ、一人の包括看護師の思いが実現させて、年々つながってきた小学生対象認知症サポーター養成講座。
     今年もこの一人の看護師の思いを受け継ぎ、子どもたちの前に向き合いました。
     絵描きナース!あなたの思いが、今もここに生きていますよ!
    入新井第2小学校6年生、認知症サポーター養成講座で使用した資料はこちらをクリックしてご覧下さい。康文さんの詩も紹介しています。
    今年3年目となる認知症サポーター養成講座。毎年2時限分、1時間半の講座です!
    当院主催の「地域連携懇話会」が2日前・・・。1日前には、東京都主催の認知症シンポジウムにシンポジストとして参加。
    少々疲れ気味・・・・ 
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     今回は、後半で車椅子体験を行うということで、みま~もの協賛事業所 ㈱ハートウェルさんが全面協力!
    この講座のために、車椅子9台をトラックで持ってきてくれました。
     また、協賛事業所 ㈱アクセスに来ている社会福祉士の実習生たちが手伝ってくれました。
     授業の前に、まずは、自分たちが車椅子の動かし方の基本を学びます。
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     車椅子に乗るときに、今回はこのメガネをかけてもらうことにしました。
     このメガネをかけると視野が狭くなり、白くにごって周りがボーっとしか見えません。
     高齢者の日常の見え方も実感してもらいます。
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     さぁ、授業の始まりです!
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    体育館裏では、㈱ハートウェルのみなさんが、後半の車椅子体験で使用する車椅子のタイヤの空気チェック!さすがプロ! 
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     車椅子体験開始。今回は、車椅子の操作方法を学ぶだけでなく、実際に車椅子に乗ってもらい、自分の意志で動かない恐怖感を体験してもらいました。
     恐怖感を体験することで、操作をするときに声をかける安心感を知ってもらいます。
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    「こわ~~~~い!」段差を乗り上げる部分は怖いよね。
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    前の車輪が段差に当たったら、しっかりブレーキを持って、このレバーを踏んで前輪をゆっくり上げるんだよ!
    実習生たちも、事前の練習のおかげで、的確なアドバイス!
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    先生も、車椅子体験!
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    最後に各クラスの代表が感想を話してくれました。
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