大田区発の地域包括ケアシステム-おおた地域見守りネットワーク(みま~も)

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2007.11.23おおた社会福祉士会 原稿
  •  大田社会福祉士会から、「地域包括支援センター」について、原稿依頼があった。2000字ほど思いを綴らせてもらい、11月20日発行され郵送されてきたので、そのままブログに載せます。
    『入新井のめざす地域福祉』
     改めて「地域包括支援センター」が設置された目的を考えたときに、以下2点の大きな課題に向けた役割を担う機関であるという認識を持っています。
    1)介護保険サービスやケアマネジメントだけでは高齢者の生活全てを支えることは困難。
    2)高齢会の進展、世帯構成の変化(65歳以上の独居・夫婦のみ高齢世帯が全世帯の45%)に対応し、保険・医療・福祉の専門職やボランティアなど、地域の様々な資源を統合した包括的ケア(地域包括ケア)が必要。
     これから訪れる、世界中どの国も経験したことのない超高齢社会に向けて、「地域包括支援センター」が、地域包括ケアを有効に機能させるために、地域住民と、保険・医療・福祉の専門職との連絡・調整、コーディネートを担い、これらの課題を乗り越えていくことが何より大切だと考えています。
     私たち「地域包括支援センター入新井」は、大森北全域、山王1~2丁目、平和島・大森本町の一部を(65歳以上の方、約6900名)対象地域としています。
     職員数5名、介護予防プラン作成件数は150件(一部委託含む)、その他、総合相談支援、権利擁護業務、包括的継続的ケアマネジメント業務と業務量は膨大だが、私たちの揺るぐことのない仕事の中心として置いているものが、地域ネットワークづくりだということは、全職員一致しています。
     日常のつながりの中で、この地域で暮らしている方、この地域で働いている方すべてが、地域ネットワークの対象者です。
     地域の老舗百貨店であり、高齢者の交流の場となっている「ダイシン百貨店」の全職員170名が、「認知症サポーター」養成講座を受講し、登録されました。
     包括支援センターで取り組んでいる「介護予防教室」にも、快く会場を提供してくださり、職員の方も複数名必ず参加してくれています。
     10月27日、私たちが取り組んで2回目となる「認知症セミナー大森」は、200名の参加があり、そのうち4割が地域住民、介護者、民生委員と、回を重ねるごとに専門職以外の方の参加が増加しています。
     中でも地域の民生委員の方々が、毎回ほぼ全員出席して下さることはとても力強いことです。
     また、社会福祉士会副会長の中村さんをはじめ、弁護士・行政・医師等専門職種の方がセミナーの趣旨に賛同し、シンポジストとして参加してくださったこと。
     そして何よりも嬉しかったのは、地域住民と専門職が顔を向き合わせ、認知症の人が、「患者」や「利用者」としてでなく、「住民」として暮らし続けることができる地域を創造していく第一歩が踏み出されたことです。
     私たち「地域包括支援センター」の役割は、地域に暮らしている方々、各専門の方々に、「ここは○○をしているところ、だからこういうときに気軽に相談していいところ」、「ここへ行くと○○さんや△△さんがいて、話を良く聞いてくれるから安心」という地域の一部に溶け込んでいくことが大切だと感じています。
     自転車で訪問に出る。商店街を走ると弁当屋・肉屋・八百屋、路地に入ると民生委員、ケアマネージャー、介護者などから声をかけられたり、呼び止められたり、なかなか目的地にたどり着けない。
     このような出来事の一つひとつが私たちの誇りであり、やりがいにつながるのでしょう・・・。
     平成18年9月、東京都による地域ケア整備構想検討委員会が設置され、東京都としての療養病床の再編成と、地域ケア体制の推進についての策定に入りました。
     
     急速な高齢化に伴う、要介護・認知症高齢者の増加。都市化の進展、住民の流動化により、培われてきた「地域共助」の低下の加速。高齢者の独居や夫婦のみ世帯増加による「自助」の低下(孤立の恐れ)。
     大都市東京特有の地域特性は、「地域包括ケア」を考えたときに大きな障害となる要素が多いものです。
     しかし、多数の人が住み、働いている「人的資源」の宝庫。介護・医療だけでなく、日常生活を支える多様な社会資源(商店街・スーパー・コンビニ・交通機関・金融機関等)が、身近に存在している利点もあり、「大都市の特性を活かした地域づくり」は可能なはずです。
     認知症になっても、要介護状態になっても、『住民』として暮らし続けることのできる、「暮らし続けたい !」と希望できる地域社会を、地域に根ざした「地域包括支援センター・社会福祉士」としてみなさんとともに構築していきたいと思います。
    この大都市東京で、「暮らし続けたい」と希望できる地域社会を!
              ↓
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