最近、児童演劇のコーディネーターの仕事をしていた頃のことを、よく思い出す・・・。
誰もいないホールの荘厳な空気・・・・。
搬入の際、舞台・音響・照明・役者・・・、皆が普段着のボロを着て、荷物を運び入れる連帯感。
ホールに荷物が吸い込まれていくと同時に、何もなかった舞台が、森になり、草原になり、砂漠になり、宇宙になっていく・・・。
世界を創り終えると、舞台関係者が一人ひとり消え、照明が落ち、ホールは、また荘厳な空気に包まれる・・・。
舞台ができあがった薄暗いホールの客席に一人座り、これから始まるであろう舞台の様子、観客の歓声を思い浮かべる・・・。
このひとときが、当時の私は一番好きでした・・・。
控え室に挨拶に行く・・・。劇団の方々は、差し入れの「小夜食」を食べている。
「小夜食」・・・。
劇団の方が、公演前に食べる食事をこう呼ぶ。夜食前に食べる軽食・・・という意味と、
「小屋 」 (ホール)で食べる食事(小屋食)をかけている。
リハーサルが始まる・・。小夜食を食べている和やかな雰囲気の人たちが、一転、それぞれの役になりきる。搬入と同じ、普段着だが、衣装が見えるようだ・・・!
本番が始まる・・・。何回同じ舞台を演じても、観に来てくれている観客の反応で演じる役者の表現も変わる・・・。ここにテレビなどとはちがう、生の舞台芸術の怖さと、すばらしさがある・・・。
最近、仕事をしていて、ふっと、この舞台の懐かしい空気を感じることがある・・・。
あの頃のときめきや感動に、「また戻りたい」という自分の気持ちのうごきが働いているのかもしれない・・・。
福祉の世界に飛び込んで十数年・・・。いつか、また、あの世界に・・・。
今、行っている様々なことが軌道に乗ったとき、あの空気にまた戻るのも、「自分の人生らしい・・・」とも思う。
「もう充分やったよ・・・、もういいんじゃないか?、新しい何かを見つけに行こうや!」
自分の心のどこかでそんな声も聞こえる・・・。
いつも、この心の声に引っ張られてきたような気がします・・・。
多くの様々な人と出逢いたい・・・、これが自分の原点!
結局、仕事内容じゃぁないんです。私の場合、
多くのすてきな人たちと出会うことができる。
これが仕事選びの基準!今の仕事もこの原点に導かれて今、
「ここ」にいるだけなんです。