大田区発の地域包括ケアシステム-おおた高齢者見守りネットワーク(みま~も)

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2012.2.24放ってもおかない!
  •  4月28日に公開される松竹映画 「わが母の記」 (役所広司・樹木希林・宮崎あおい 出演)を、松竹の方から招待を受け、観てきました。
     原作は、昭和を代表する文豪・井上靖が、自身の人生、家族との実話をもとに綴った自伝的小説「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」。
     小説家の伊上洪作は、幼少期に兄妹の中でひとりだけ両親と離れて育てられたことから、母に捨てられたという想いを抱きながら生きてきた。
     父が亡くなり、残された母の暮らしが問題となり、長男である伊上は、妻と琴子ら3人の娘たち、そして妹たちに支えられ、ずっと距離をおいてきた母・八重と向き合うことになる。
     老いて次第に失われてゆく母の記憶。その中で唯一消されることのなかった、真実。初めて母の口からこぼれ落ちる、伝えられなかった想いが、50年の時を超え、母と子をつないでゆく──。
     観終わったあと、この特別試写会に招待してくれた松竹担当者 Aさんに感想を求められました。
     あの時代・・・、
     今のような介護保険制度や認知症に対しての理解はなかった・・・。
     しかし、この母親には、紆余曲折ありながらも認知症の母に寄り添い、これからの自分たちの人生につながる「今」を、母親と向き合う娘や息子たちがいた。
     日本では今、独居高齢者が誰にも看取られずに、死後、何週間も経ってから発見される 「孤独死」 が深刻な問題になっている。
     障害未婚者や、配偶者と死別した独居高齢者などの増加で、20年後の2030年には単身世帯が4割に迫ると予測されている。
     現在、そしてこれからの日本に何が必要なのだろうと、いやがおうにも考えさせられる。
    「孤独死をなくそう!」・・・・・
     このことを大上段に掲げ、取り組んでも限界がある。
     限界だけではない。
     他者が、このような思いで関わることは、人とのつながりを自ら絶っている人からすれば、「お仕着せ」以外の何物でもない。
    「孤独死」と、一人で暮らしながら亡くなるということはまったく意味がちがう。
     一人で暮らしながらも、家族・・・、いや、家族でなくてもいい。人とのつながりを持ち、自立して生きることを選択し、そして、社会との関わりを持ちながら死んでいくことは「孤独死」ではない。
    「孤独死をなくそう・・・!」
     けっこうです。
     ただその前に、いくつになっても、たとえ医療や介護が必要となったとしても、地域社会とのつながりを持ち続け、自立して生きていくことに力を注ぐことが重要なんです。
     孤独死につながる「孤立」をつくらない地域社会を築くことが、まず必要なのではないでしょうか。
     この映画の「母」には、家族がいた。家族と「母」を放っておかない地域社会が存在した。
     高齢化が進み、単身世帯が増加する現代に、
    「 お仕着せではないが、放ってもおかない! 」 そんな地域を築いていくことが大切なのだと思っています。
     映画を観終わって、ふっと頭をよぎったこんな思いを、Aさんに伝え、帰ってきました。
     
    わが母の記の予告編は、こちらからご覧下さい。
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