「10年ひとむかし」と言います・・・。
この世界に飛び込み、ちょうど10年めの秋が訪れています。住んでいる川崎から隣の街でしたが、大田区は自分にとって30歳になるまでなじみの薄い街でした。
デイサービスの面接のため、大森駅を降りたのがちょうど10年前。
町並みは今と変わっていません・・・。ですが、自分にとっては、様々な人と出逢った大切な街に大変貌を遂げました。
「10年ひとむかし」とは、建物や環境、の単位ではなく、やはり人間の歩みの中で生まれた、ひとつの大切な単位(節目)なのだと実感します。
大学卒業後、「本物の舞台芸術を地域の子どもたちに!」と、さまざまなジャンルの演劇を子どもたちに出会わせる、文化団体の事務局を8年間勤めました。
初めて出会う生の演劇に目を輝かせる子どもたち。
殺伐とした社会の中で、「わが子をどう育てていけばいいのか」と真剣に考えあう母親たち。
「未来を創る子どもたちにこそ最高の舞台芸術を届けたい」と真剣に向かい合う演劇人の方々。
物事の見方・考え方も、まだまだ未熟な20代の自分にとって・・・、そしてあの頃から20年経った今の自分にとっても忘れることのできない、そして今の自分にとって、どんなに時代が変わっても譲れない大切なものを教えていただいた8年間でした。
この仕事を辞めた後、工学部出身だった自分が、なぜその方向で仕事を探さず、しかも、全く出会う機会のなかった高齢者福祉の世界に飛び込んだのか???
やはり、人間と向き合う仕事をやり続けたいという30歳の自分がそこにいたのだと思います。
この世界に飛び込みちょうど10年が経ちました。
デイサービスの介護職員として、初めてのミーティングで職員たちが普通に会話している言葉の一つひとつが全て英語のように聞こえ、全く理解できなかったこと・・・。
排泄介助で、何人かの女性利用者のパットを裏返しにして、接着面を陰部へ何の疑いも持たず貼り、数日後、家族から苦情が噴出、女性職員から人間失格のように激怒されたことを昨日のように思い出します・・・
秋深く、3連休の間に、今までの道のりをふっと考えてこのような書き込みになってしまいました。