先日、近くにあるそば屋で昼食を食べました。そば屋といっても、立ち食いそば屋さんに多少座るところがあるといった感じの店です。
仕事が忙しく、15:00ぐらいの遅い昼食だったので、お客は自分だけ。
すばやく食べて事務所に戻ろうと、そばとおにぎりを注文した。味わうことなく流し込むように食べていると、年のころ、80代前半のひげを生やした仙人のようなご老人が店に入ってきた。
厚みのある本を3冊購入したらしく小脇に挟み、月見そばを注文。
いくつか空いているテーブルがある中で、私が食べているテーブルに向かい合うようにそばのお膳を置いて席に着いた。
小脇に挟んでいた本をテーブルの脇にそっと大事そうに置き、割り箸を取り、流れるような動きで箸を割り、またそろえ、そばに向かって一礼をする。
そばを食べようとどんぶりに口をつけようとした瞬間、「あっそうだ」と立ち上がり、店の隅まで歩いていき、置いてあったポットを押し、湯飲みにお湯を入れた。
後でわかったのだが、この店は、あらかじめそば湯をポットに入れてあるみたいで、この仙人が湯飲みに入れたのはそば湯だった。
湯気のたったそば湯をテーブルに置き、手を伸ばしたのは何と
ソース。
しょうゆと間違えているのかと思い声をかけようかと思ったが、突然の出来事に圧倒されてしまい、声をかけそびれた。
そば湯にソースを適量入れ、先ほど割った割り箸でかきまぜる。割り箸を割り箸が入っていた紙に置き、両手で湯飲みを持ち、口に入れる。「
ほ~~~っ 
」
口をつけ、一飲みするたびに、「
ほ~~~っ 
」 全てを飲み干した後、置いてあった割り箸を再度手に持ち、どんぶりに口を近づける。まずは、汁をすするようだ。
汁をすする場所は、卵が近くにある部分。まだ、生の状態の卵を汁と一緒に
トウルンと一飲み。どんぶりはあっという間に月見そばから、かけそばに早変わり。生卵を汁と一緒に一飲みした後も、私の予想通り、 「
ほ~~~っ 
」
私と、仙人との距離は、向き合って、テーブルの中央に割り箸置きと、七味があるだけ。
どう、そばを夢中に食べていてもご老人が視界に入ってしまう。
このご老人の食べる仕草を見ているうちに、急いで味わうこともなく食事をしている自分が恥ずかしくなってきて、食べ終わった後、すぐに席を立った。
下膳をして、店を出ようと仙人の前を通って、「チラッ」と視線を向けたとき、仙人から「今度やってごらん」とのありがたい一言

仕事の合間の、そば屋で体験した不思議な不思議なひとときでした。
ちなみにここまでの話しは、全て
ノンフィクションです。
恩賜公園のあじさい
↓