ある日・・・・。
我が包括支援センターは事務所に訪れた相談者と、電話対応で職員フル稼働!!
そんなバタバタしている事務所に、さらに、来所者がやってきた・・・
おおた高齢者見守りネットワーク事業、「みま~もレストラン」に参加しているSさんです。私も電話対応中でしたが、Sさんにアイコンタクトを送る
「ごめんね、すぐ終わるからちょっと待ってて・・・!」
すると、Sさんもすかさずアイコンタクト返し!!
「いいの、いいの!また来るから・・・・ 」
Sさんは、アイコンタクトを残して、玄関を出て行った・・・・・。
様々な対応をしていた職員の中で、私が一番早く電話の相談が終わった。
「まだ間に合う!」
私は、すぐに玄関を出てSさんを追いかけた。
まだ出て間もないSさんはすぐにつかまった。「さっきはごめんねぇ~!」と声をかけ、振り向いたSさんの顔をよくよく見ると、左顔面が腫れている・・・。
Sさんはにこにこしながら、「いいのいいの!昨日、虫歯で顔が腫れちゃって、治療に行く前に寄ったのよぉ~!だいぶ腫れが引いたから、安心させるために顔見せに来ただけ!
」
昨日、歯の痛みをこらえながら、歯科に行く前に立ち寄って、状況を我が包括職員に伝えてから、歯科に向かったのだそうです・・・。
(これで腫れ引いてるんだぁ・・・。昨日は相当ひどかったんだなぁ~)
日常のちょっとした不安が持ち上がったときに、寄ってくれる、連絡をくれる、このような人たちが一人、また一人と増えてくれることがうれしい・・・。
Sさんとの出逢いは、包括支援センターで開催している介護予防教室からでした。この予防教室が終了した後、参加者で、ウォーキングの自主グループを結成!毎週火曜日に、包括事務所前の広場に集合して出かけていく・・・。
その後、おおた高齢者見守りネットワーク事業「みま~もレストラン」に定期的に参加。誰もに好かれるキャラクターのSさんは、レストランでも人気者!パン作りが得意なSさんは、NRE大森弥生ハイツの栄養士始めスタッフに、パン作りの極意を教えてくれたこともある。
そんな社交的なSさんも一人暮らし・・・、一人になれば不安なこともある。特に病気や将来に対しての不安は大きい・・・。
これは、Sさんだからということではなく、高齢になり、一人で暮らしているという寂寥感や不安は、都会で暮らす高齢者のみなさんが抱えていることではないでしょうか・・・。
身近に、自分の老いの変化をわかってくれている専門職がいる。何かあったら自分の息子や娘の連絡先をこの人たちに伝えてある。私の生活の経緯もわかってくれている。
私は、このような地域に根ざした、思いっきり生活に根ざした存在の、包括支援センターであっていいと思っている。
何かあったときだけ、日常の関わりがない中で支援していく・・・。当然このようなときもあります。ただ、Sさんとの関わりのような、地域に暮らす人たちとの関係を一つひとつ増やしていくことが「地域に暮らす人たちの安心」につながると信じています。
近道のネットワーク構築などないんです。
例えば、「おおた高齢者見守りネットワーク」事業をやっているから、地域のネットワークができるなんてことないんですよね。日常の地域との関係がない中で、包括支援センターや行政が主体となってネットワークを呼びかけたって、しょせん、絵空事で終わってしまうだけ!
ローマは一日にしてならず!
地域づくりは一日にしてならず!
専門職と、地域住民との日常のやりとりの中にこそ、地域ネットワーク構築の鍵があるんです。正確に言うと、ちがいますね、
地域住民と専門職との日常のやりとりこそがネットワークなんです。