先日、休みの日に引き出しを整理していたら、6年前の秋、デイサービスを退職した時にKさんの奥様から頂いた手紙が出てきました。
デイサービスで生活相談員として、新規受け入れの際の自宅訪問に行き出したばかりの頃、Kさんの初回訪問に伺いました。
40歳代での若年性認知症の診断を受けたKさん。進行が早く、目の前のご主人の変化に奥さんは戸惑い、二人で自宅に閉じこもり毎日泣いて暮らしていたと言う。
デイサービスの利用も何度か考えたが、利用者の子どもぐらいの年齢のKさんを利用させる勇気が持てず、ずっと悩み続けていたそうです。
しかし、担当ケアマネージャーの熱心な勧めもあり、私の利用前の初回訪問が実現しました。
奥さんは、外出することをしなくなったKさんが、せめて家の中で穏やかに過ごせるよう、日中は窓を開け、ご夫婦ともに好きだった「ピーター・ポール&マリー」の曲をいつも流していて、私が訪問した時も、「パフ」が流れていてKさんは聞き入っていました。
奥さんは、本人がデイサービスを快く参加することができるか?周りの人たちがKさんを受け入れてくれるか?私が訪問した時にも利用を悩んでいました・・・。そして、まず奥さんも同行して、一日体験利用からスタートすることになりました。
利用当日、Kさんはやはり、利用者の方と一緒のテーブルに座ることもできず、別テーブルで奥さんと見学。
そして、落ち着かないのか帰ろうとまでするようになりました。そこで、デイサービスの脇にあった、放置したまま荒れ放題の花壇に行き、「一緒に庭造りをしませんか?」とKさんに提案をしました・・・。
その日から、Kさんの利用日は、毎回一緒に麦わら帽子をかぶり、軍手をして、草むしりから木の剪定と一緒に作業を行いました。(指導は送迎運転手のAさん)
始めたのは、たしか初夏の頃だと思います・・・。二人で汗びしょになりながら作業をして、BGMは当然
「ピーター・ポール&マリー」 やはり、利用者の方とKさんは体力が違います。今まで食事量も少なかったのですが、適度な運動をしてお腹が空くのかモリモリ、そして水分もゴクゴク飲むようになりました。
あの頃のKさんは、ピーター・ポール&マリーの曲の大部分はハミングでしたが、サビの一部分は英語で歌ってくれていました・・・・。
しかし認知症の進行は、しばらくしてKさんからピーター・ポール&マリーの曲の記憶を奪い、一緒に花壇を作る体力と気力までも奪っていきました・・・。花壇作りは、Kさんから送迎運転手のAさんが引き継いでくれました・・・。
このKさんの奥さんが、私が退職するときにくださったお手紙が出てきたんです・・・。
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秋も日一日と深まって参りました。このたびは、退職なさることを伺いまして本当に残念でなりません。
「庭造りを一緒にして春には花を咲かせましょう・・・」と、固い握手をしてくださったこと、ピーター・ポール&マリーの曲をデイサービスの部屋いっぱいに響かせてくださったこと、
「一人ひとりにデイサービスの参加の仕方があるはずだ・・・!」という言葉・・・。
今こうして、デイに通うことができるようになったことは、〇〇との出会いがあったからです・・・(詳細省略)。また、時々デイサービスに訪ねてくださいね、今後とも活躍されますことをお祈りしております。
奥さんのお手紙に綴られた思い、Kさんが一緒に作業しながら歌ってくれたピーター・ポール&マリーの歌、しっかり今も心に刻んでいます。心から心からありがとうございます。