大田区発の地域包括ケアシステム-おおた地域見守りネットワーク(みま~も)

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2011.3.19地域福祉の担い手としての専門職の役割
  •  「おおた高齢者見守りネットワーク」に協賛している居宅介護支援事業所に、社会福祉士養成過程の実習に来ていたKさん。
     この居宅介護支援事業所の管理者Tさんは、「みま~も」になくてはならない人。バイタリティーがあり、明るく、一緒にいてもらうとなぜか安心感があり、私も、とても頼りにしている一人です。
     ここで社会福祉士としての学びを受けていたKさんの実習期間中に、神奈川県社会福祉士会県央支部の研修会
     『 ~社会福祉士が創造する見守りネットワークとは~ 』 
    があり、Kさんも参加してくれていました。
     Kさんが実習を終え、大田区を去ったあと、Kさんが、「おおた高齢者見守りネットワーク」について記した実習報告書をTさんが読ませてくれた。
     実習が終了し、私のもとへも、Kさんからお礼のメールが届いた・・・。この大田区での学びを胸に、自分が働く地で、がんばっているそうです・・・。
     このKさんの報告書をご紹介します。
          
    「おおた高齢者見守りネットワーク活動」から地域福祉の担い手としての専門職の役割を考える
    社会福祉士養成課 ○○ ○○
    【専門職たちが考える、地域に暮らす人たちの本当の意味での安心とは?】
     本実習において、訪問介護事業所にてケアマネージャー業務、デイサービス業務、高齢者専用賃貸住宅業務、独立型社会福祉士の業務、高齢者見守りボランティア活動について学習を行った。一連の中から、大田区の高齢者見守りボランティア活動について紹介・報告を行う。
     この活動は大田区の専門職(福祉・医療・司法・企業・公的機関など)がボランティアとして参加をし、地域の高齢者が安心して暮らせる地域作り=地域本来のつながりをつくる活動である。この活動「おおた高齢者見守りネットワークみま~も」(以下「みま~も」)では、本当の意味での安心とは何かを下記のように定義している。
    1、健康維持・医療の安心
    2、福祉の安心
    3、地域とのつながり
    4、自分なりの生きがい
    上記のうちどれかが欠けても本当の意味での安心を得る事ができません。(「みま~も」パンフレットより抜粋)
    【活動の3本柱は、セミナー、レストラン、SOSキーホルダー】
     活動の3本柱は、地域づくりセミナー(専門職による講演活動)、みま~もレストラン(地域コミュニティスペースの提供)、SOSみま~もキーホルダー登録システム(身元確認システム)。
     セミナー講師はすべて地域の専門職のボランティア参加。
        ↓
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     コミュニティスペース提供は企業(有料老人ホーム)である。
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     身元確認システムは、地域包括センターにて高齢者の身元登録を行い、地域包括センターの連絡先と登録番号を記載したキーホルダーを、身につけてもらうという試みである。
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    【地域の専門職を能動的に運営側に取り込む】
     主催者Aさん(B地域包括センター長)と、その発案に賛同した社会福祉士Cさん(独立型社会福祉士)の2人によって始められたこのボランティア活動は、現在、大田区全域に広がろうとしている。
     福祉職以外の専門職が多く参加している背景には、高齢者や社会的弱者の立場にある方々への温かい眼差しや、「無縁社会」と言われている現代の地域社会への危機感など、福祉的見地からの参加理由以外に、他職種の専門職間の横の繋がりを求めての参加、専門職としての本来の業務に「みま~も」の活動が役立つなどの理由も考えられる。
    「みま~も」では、地域の専門職を能動的に運営側に取り込み、それぞれの分野で行える地域住民向けプログラムを実施していく方法をとっている。
     その際には、各専門職や企業が「顔」を出す事(講演会講師・みま~もパンフレット協賛広告掲載・事業内容の紹介など)を推奨し、ボランティア活動との対費用効果を考慮している。
    【住民にとっては、自分の住む地域の再発見の機会】
     「顔」の効果は運営側の利益だけではなく、「みま~も」の活動に参加する住民たちにも役立っている。地域の専門職が講師を務めるセミナーに参加した地域住民は、自分の住む街にいる専門職を知り、その専門職の業務に関心を持つ。
     すなわち、自分の住む地域を再発見するのである。
     一般の方には遠い存在に感じられる専門職が(例:消防署所長、医師、企業家)身近な話題で講演を行えば、親しみを感じるとともに、地域全体から見守られているような感じを受けるのではないだろうか。
     主催者Aさんによると、チラシには講師の顔を載せるようにしているとのこと。パンフレットに「顔」を載せる事を拒む方もいるが、住民にとっては、「この人は、自分の町の専門家!」と安心につながる効果があるので、なるべくお願いして写真の掲載を行っているとのことであった。
     このように専門職を取り込む事で、「みま~も」は大きく成長してきたのだが、その原動力について記憶に残る言葉がある。
    【専門職として何ができるか・・・!という強い思いが・・・】 
     主催者Aさんが「みま~も」について他県社会福祉士会主催で講演を行った際に、参加者から「大田区だからそのような活動ができるのである」との声が上がった。
     商業的な地域である、公的機関が多く集まっている、主催者が地域包括支援センター長であることや人口の多さなどがその理由であろう。講演を拝聴していた自分も、質問者に賛同してしまったが、主催者Aさんの言葉に目を開かされる思いがした。
     「場所や立場ではない。地域のため、地域に暮らす人々のために何が出来るかという強い思いが、周りの人を巻き込んで大きな力になってゆくのです!」
    【この地域で働く専門職として・・・、地域の一員として】
     地域福祉を、地域本来のつながりから生まれる相互扶助と捉えると、福祉職にある者や公的機関のみが地域福祉の向上をいくら促しても、地域に生活する方々の意識が変わらなければ効果は生じにくいのではないか。
     地域は、住民だけで構成されているのではない。そこに職場を置く専門職へも、地域の一員であるという自覚を持たせ、地域福祉活動に取り込んでいく事が不可欠である。
     これからの地域福祉のけん引役は、専門職である。
     そのような気付きを得た実習であった。

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