2年前に大森に越してきたAさん(男性)、当時「要支援2」。
当包括支援センター看護師Tさんが予防プランの担当となり、週1回リハビリ目的にデイケアに通うようになった。
パーキンソン病を発症していたAさん。自分の病気が進行性のものだということを、誰よりも理解し、そして受け止めていた。
自宅に閉じこもらないよう、地域の人との交流の場や、運動教室への参加を積極的に希望し、Tさんは、その希望に沿うよう、地域の社会資源を紹介していった。
その一つが、NRE大森弥生ハイツで毎月第3木曜日に行っている「みま~もレストラン」。
Aさんは定期的に参加し、レストランが行われていない日も、NRE大森弥生ハイツさんに出かけ、施設の入居者向けに開催している映画会や音楽会などに参加していった。
NRE大森弥生ハイツのみなさんも、施設内の取り組みに足を運んでくるAさんを、快く受け入れてくれた。「おおた高齢者見守りネットワーク」の取り組みがあったからこその施設との連携です。
Aさんの楽しみにしていたNRE大森弥生ハイツへの外出は、長くは続きませんでした・・・。病気の進行は思ったよりも早く、一人での外出はすぐに困難になってしまいました。
一人暮らしも難しくなり、娘夫婦が同居。Aさんは、「要介護」状態となり、T看護師は、見守りネットワークで関わっているSケアマネージャーに担当を依頼。
進行の早さに戸惑う娘にも、T看護師は、Sケアマネージャーとともに、今後予測されること、その中でどこまで介護が可能であるか、家族の希望や思い、そしてAさんの選択を聞き、施設入所を進めていきました。
先日、Aさんが、娘さんに付き添ってもらい事務所を訪れた。事務所から、歩いて3分ほどのAさんの自宅から、やっとの思いで歩いてきたAさんは、事務所に入ると、崩れ落ちるように椅子に腰をかけた。
施設入所日が決まり、T看護師に最後のあいさつに来てくれたのです。しかも、T看護師に会う最後の日、自分の足で歩いて会いに来てくれた。
娘さん、Aさん・・・、そしてT看護師・・・・。ひとしきり話しをして、T看護師がAさんにこう呼びかけた。
「Aさん、写真一緒に撮ろう!

」
事務所までやっとの思いで来て、とても立ち上がれなさそうなAさんに、T看護師はさらに、「せっかくだから、外で撮ろう!私と娘さんが支えるから大丈夫!!

」
Aさんは、うなづくと二人に支えられ立ち上がった!そして包括支援センター前の、包括ガーデンに3人が並ぶ。夕日を浴びて、3人とも笑顔でカメラに向かった。
撮影者は私。この3人の笑顔を、しっかりカメラに納めさせてもらった。長い時間をかけられない、ともすると、Aさんがぐらつき、娘さんかT看護師の方へ傾いてしまう。2枚の写真を撮影するのがやっとだった・・・。
「Aさんどうする?このまま歩いて帰る?それだったら私送るよ!」とT看護師。
「よかったねお父さん。がんばれるんだったらそうしてもらおう!」
娘さんがAさんに呼びかける。前傾気味になってきたAさんだが、この問いに対してはしっかりうなづくのを私は見つめていました。
両脇にT看護師と娘さん。Aさんは、最初の一歩が中々出ない。それでも、一歩足が前に出ると、そのまま二人に付き添われ、自宅に帰っていった。
悲しさや寂しさや、悲壮感など、表面的には、この3人にはかけらもなかった。
でも、自分が介護のため同居しながら、この段階で父を施設に入居させてしまうという思いを抱える娘さん。
娘さんの思いを感じ、本当はまだ、この地域で暮らしたいが施設入居を決断したAさん。
この本人・家族に、しっかり向き合った一専門職。
短期間ではあるが、進行性の疾患を抱えた本人、そして家族が、その時々の選択ができるよう、必要な情報と、選択するために何を考えるのかを、専門職として真摯に伝えていったT看護師。
これがあったからこそ、今、この決断が最善のものとして受け入れ、この地を最後にする時に、二人でT看護師に会いに来てくれた。
そして、T看護師は、今日、この日だけはAさんに、素の自分として、一専門職ではなく、一人間として、「思い出に写真を撮りたい!」と、伝えた。
この願いに、Aさんも、娘さんも、快く受けてくれた。
Aさんも、最後のこの日だけは、T看護師と最初に出逢った頃の、「要支援」の自分でいたいと、がんばって歩いて事務所まで来てくれた。そして、二人に両脇を支えられながらも、来た同じ道を、今度は3人で帰って行った。
今日まで、T看護師が、Aさん、そして娘さんとの関わってきた過程の詳細を私は知らない。でも、事務所に来てからの3人の会話と、3人で帰って行く後ろ姿を見つめていて、T看護師が、この家族と、専門職としてどう向き合ってきたのかが、手に取るように理解できました。
「日常の関係性があって成り立つもの!」 それが、信頼関係なのだと思います。苦しいときや、弱い立場になったとき、自分が心から信頼できる人がいるということはどんなに心強いことでしょう。
それが、詳しいことがわからないが、自分たちにとっては必要なことを専門にやっている人、その人が、自分の担当者でいてくれる。こんな心強いことはありません。
T看護師は、Aさんたちとの日常の関わりの中で、今の関係性を築いてきたのでしょう。
ベッタリ寄り沿うことが私たちの仕事ではない!
何でも言われればやる・・・、そんな、なんでも屋でもない!
包括支援センター職員として、専門職として、本人・家族とどう向き合うのか?T看護師に教えられたような気がしました。
T看護師だけでなく、わが包括職員の一人ひとりのこのような姿に、学ばされます・励まされます・勇気づけられます・元気をもらえます。この職員たちの、地域との日常の関係性があるから、今、私たちの包括支援センターが、ここに在る!
本当に心からそう感じます!!
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Aさんの今後を応援しています。
短い期間でしたが、楽しみに来ていただけたことをうれしく思います。Aさんの笑顔に、何度も、頑張っていこう!って思いました。