先日、包括支援センターの扉を開けてご夫婦が入ってきた。うちの職員が窓口で対応・・・。
土曜日午前中の、いつもの相談風景・・・・。
しかし、10分後、ご主人の方がいきなり怒鳴りだした・・・。「わかった!こんなことならわざわざここに来ることなどなかった!こいつには受けさせない。」、「もういい、帰るぞ!」と、一緒にいた奥さんを引っぱって帰りそうな気配・・・。
途中から顔を出してどうできるわけでもない・・・・と思いながらも、ご主人の吐き捨てるような怒号、ボー然とたちつくしてしまう職員たちを見ていて、そこに向かわないこともできず、立ち入らせてもらった。
特定高齢者を対象とした運動プログラムが、近隣の区立デイサービスで翌週にあり、最近閉じこもりがちになってきた奥さんを参加させたく、二人で何とか事務所にやってきた。
翌週のことなので、対応したうちの包括職員が、デイサービスに受け入れの有無について確認の連絡をした。
すると、担当職員が休みのため、受け入れの有無について判断できないとのこと。それを本人たちに伝えたところ、ご主人が怒り出したという経緯。
申し込みがギリギリ。土曜日に来ても対応できないこともある。たしかにそうかもしれません。ですが、包括支援センターも、プログラムを開催するデイサービスも空いているにもかかわらず、
「担当者が休みだからわからない。申し込みできない。来週からは開催することになっているから、結果あなたは利用できません。」
これでは妻に必要だと思っている運動プログラムを利用することもできない。対応している各職員の対応の誠意も感じられない。
プログラムへ参加することに否定的な妻をやっと説得し、ここに訪れたご主人がむなしさをぶつけてくるのはある意味当たり前のような気がします。
まずは、もう一度うちの職員にデイサービスへ連絡させた。「担当者がいないからわからないでは、窓口に来ている相談者に話しができない!」という一言も付け加えて・・・。
すると、「担当者がいないが受け入れます」との返事。プログラムに参加できることをご主人に伝えると、ほっとした様子で椅子に座り込み、改めて妻の状況を話してくれた。
転倒による骨折をきっかけに外出することが少なくなり、このまま気力も体力も弱っていくことを何より心配しての申し込みだった。
ご主人が声を荒げたのは、申し込みができないことではなく、一人の担当者が休みというだけで、利用ができないということを、何も感じず自分たちに告げる、専門職の誠意の無さだったんです。
そこにご主人が声を荒げるまで気づくことができず、声を荒げられると今度は自分の殻に入り込んでしまい、どうにもこうにも動けなくなる。
ここまでだったらまだ理解できるし、気づくことができたのだから今回のことを経験して学ぶことができたのだからそれでいい。
しかし、このような場合で、声を荒げたその人たちを「クレーマー(クレームをよく言う人)」と、片付ける。専門職である自分たちのことは棚に上げて、相手に責任を転嫁して自分の対応のまずさを決して振り返ることができない専門職。
このような専門職のお方の対応に出くわしたことがある方も多いと思います。私は、このような人の対応に出くわしたときは、同じ専門職として、はっきり言わせてもらいます。
相談者に相談に来た方は言えないもの。言わなければこのような専門職は生涯気がつきません。
だからこそ、同じ専門職としてはっきり言ってあげることも必要です。遠回しに言っても伝わらない。このときにも大切なのが、はっきり誠意を持って伝えること。それに気がつくことができたら、その後はそれこそ一緒に考え合うことのできる専門職同士、今までとはちがう出逢い直しが可能になる。
誠意といっても難しいことではないんです。
今回のことで言えば、デイサービスとしては、担当者がいなければわかるように伝えておけばいい。担当者がいなければわからないということに対して、「それではわざわざ来所してきた人たちに伝えられない。困る」と、はっきり再度聞く、うちの職員がいればいい。それだけ。
何があろうと毅然とし、誠心誠意相手に向き合う・・・。そういう姿勢は必ず相手に伝わります。誠意を持って向き合えば、その誠意は必ず相手には伝わるんです。
帰り際ご主人は、声を荒げたことを申し訳なさそうに頭を下げました。「運動プログラムが終了したら、ぜひ二人で報告に来てください」そんな声をかけて、対応した職員と見送りました。
毅然と、誠意を持って・・・。これがあって、初めて相手の気持ちにすーっと入っていくことができる。
介護の問題は直面している本人、家族にどっしりと重い負担を、身体的にも精神的にも否応なしにかけてくる。
私たちはその人たちと向き合う専門職です。どんなとき、どんな場面でも、まずは毅然と、誠意を持ち合わすことができるという、最低限の質だけは保ちたいと思います。