「利用者のニーズを知ろう!」、「利用者のニーズを反映させて!」・・・、この業界で何百回も聞いたセリフ。
・当たり前のことなんですが、ニーズって介護保険サービスの中にだけあるものではない。専門職が把握している保険外サービスを含めても充足するものではない。
・当たり前のことなんですが、ニーズは多様。
・当たり前のことなんですが、ニーズは与えられるだけのものではない。
ニーズはその人の日常の中にあるもの、暮らしの中に存在するもの、歩んできた人生の延長線上に求めるもの。
だとするならばその人の日常に、専門職として何ができるのかを考えることが重要なんだと思う。
キーワードは「当たり前の日常」なんです!
何気ない日常の中で、地域に暮らす人同士の関係性があって、良いことも悪いことも、関わりたいことも、時に避けたいこともある。いいことの思い出も、苦々しい思い出も引っくるめて、この住み慣れたわが町で暮らし続けてきた。
そして、医療や介護が必要となり、初めて専門職である私たちと付き合うことになる。
この地域に暮らす人たちの、当たり前の日常の中にあるニーズを知らなくて、私たち専門職は何ができるのでしょう?
自分たちが知っているその人の一部を切り取って、押しつけるだけのサービス提供をいつまで続けるのでしょう?
地域包括ケアシステム?
この言葉をきっかけにやらなきゃいけなくなったからと、年に1~2回「地域住民向けというしてあげる目線の勉強会」や、「イベント」という名の大花火を打ち上げる。
してあげる⇔してもらうの関係性。これではいつまでたっても押しつけと受け身の関係が続くだけ。
当たり前の日常を知らずに、ある日突然専門家たちがどかどかと「こうすることが最善だから、こういうことを知らなければいけないから」と日常に入り込んでくる。たまったもんじゃない!
そこにある当たり前の日常にまずは入れてもらいましょう。
「しなければいけないから・・・」と肩ひじ張る必要などないんです。まずは地域の中に入れてもらう。それだけでも専門職にとっての気づきはたくさんあるはずです。専門職であるあなたが「知りたい!」と思ってさえいれば・・・。
当たり前の日常の中にある真のニーズ!
このニーズを、具体的な行動を通してつかみ取ることができた専門職を一人、また一人増やしていく。
その先に、地域住民と専門職が対等にわが町を考えることのできる、地域包括ケアが育まれていくのではないでしょうか?
そう信じて、みま~もは11年目を歩んでいます。