みま~もを発足して2年目の6月のセミナーは、今でも忘れることができない・・・・。
大森地域の200床以上の病院 (大森赤十字病院・東邦大学医療センター大森病院・大森山王病院・牧田総合病院) の医療ソーシャルワーカーを講師に迎えて、「医療の安心」をテーマにセミナーを開催することになった。
今考えると、発足2年目としてはかなりハードルの高いテーマにしたもんだと思う・・・。
なぜかというと、介護保険関係の事業者にとって、医療ソーシャルワーカーという職種との付き合いというのがまずはそんなにあるもんじゃない。
個別ケースで関わったとしても、病院内から在宅設定のためのカンファレンスを行い、退院してしまえばあとは関わりというのはなくなってしまう。
さらにソーシャルワーカー同士も、他病院のソーシャルワーカーとは話しはするがそんなに深い付き合いはない。
そんな中、この地域づくりセミナー実現のために奔走してくれたのは当院のYソーシャルワーカーだった。
Yさんは当院の中で、みま~もを取り組んでいる私のよき理解者です。
「沢ちゃんらしいよね!でも、大事なことだと思う!」
このYさんが、近隣のソーシャルワーカー一人ひとりに趣旨を伝え、4病院の医療ソーシャルワーカーをまずは打ち合わせ会に集めてくれた。
打ち合わせ当日、最初はお互いをけん制し合い、中々議論がまとまらない。
でも、「医療の安心」って何だろう?
自分たち 「医療から介護まで」 に関わる専門職たちがここにいる。このメンバーでできることは何かないだろうか?
原点に返って話し合いをしていったときに議論が進み始める。
当時ある自治体では、ペットボトルに自分の情報を書いて入れておき、この情報の入ったペットボトルを冷蔵庫に保管しておく。
この情報を緊急時に駆けつけた救急隊が見て、必要な情報がわかるというシステムを生み出し、事業として取り組んでいた。
この話しが出たときに、現場のソーシャルワーカーたちはそろってこう話す。
「家の中で倒れたのであれば、その人の家なのだから最低限この人が誰なのかはわかる。困るのは外出先で倒れて身元がわからないまま救急搬送されてくる人たちなんだよな・・・。」
そう、各病院ともに外出先で倒れて救急搬送されてくる高齢者の対応で困っていたのです。
身元がわかるものを持っていたらまだいい。
しかし、身元がわかるものをもっていない人も多く、意識不明の人が誰だかわからない。高度な救命医療が必要な場合でも同意をもらえる家族もわからない。
「このような場合に、まずは参加者である住民たちが備えておくべきものは何なのか、そして、私たち医療・介護に携わる専門職ができることは何なのかを参加者と一緒に考え合うセミナーにしよう!
そして、せっかくこうやって病院、地域で働く専門職たちが集まったのだから地域の人たちの安心につながるシステムをこの際だから作ってみよう!」
こうして話し合いはすすんでいきました。
そして生まれたのが、「SOSみま~もキーホルダー登録システム」です。
セミナー当日までの打ち合わせ回数はじつに6回!
そしてセミナーの当日、医療ソーシャルワーカーたち、そしてみま~もに関わる専門職たちは、話し合いを重ねてきたこのシステムについて参加者に発表する!
「私たちはこのようなキーホルダー登録システムというものをこの町でつくっていきたいと考えています!このようなシステムができたら皆さんは安心ですか?登録しようと思いますか?」
100名を越える参加者たちからは拍手が起こった・・・。
このセミナーが2009年6月の第3土曜日。
翌日からこのシステムの実現に向けて奔走した。
行政の担当課係長に了承を得る。
私たちの包括支援センターだけでやっても意味がない。といって、大田区全域の地域包括支援センターすべてが、ただでさえ忙しい中、もう一つ申請業務が増えることを了承してくれるとは思えない。
まずは、大森地域6包括支援センターのセンター長たちに訴えた。
6包括支援センター、それぞれ温度差があったが、地域の中で希望者が登録を行いに来た際には申請を受け付けるというところまでは了承を得ることができた。
そのあとは、消防・警察機関にこのシステムの協力を得ることでした。
幸いなことに、私たちは警察とも消防署とも、地域づくりセミナーを通してつながりが合ったのです。
消防署には、直接セミナーで講師をしてくれた救急担当係長 Nさんに会いに行く。
Nさんは快く協力してくれることを約束してくれただけでなく、救急隊として必要としている情報についても教えてくれた。
警察署にもセミナーで講師をしてくれたK係長に会いに行った。
K係長は、キーホルダーができたらサンプルをすべての交番に渡して周知を図ってくれると言ってくれた。
この時期までにみま~もが築いてきたネットワークが、このような形で大きく機能していったのです。
もう一つの大きなハードルがありました。それは区内すべての医療機関への周知です。
これについては、このシステムを一緒に考え、生み出した4病院の医療ソーシャルワーカーたちが力を発揮してくれました。
大田区の医療ソーシャルワーカーで組織されているソーシャルワーカー連絡会の会議に私たちを呼んでくれて、このキーホルダー登録システムへの協力についてを議題に盛り込んでくれたのです。
私がこのシステムの有用性について話し、協力を呼びかける。それに呼応するように4病院のソーシャルワーカーが各病院に協力を訴えてくれました。
セミナー終了後から、各機関の協力体制づくりに1ヶ月を要しました。
そして、ネットでキーホルダーを注文。中に入れるデザインを考えて印刷、そしてキーホルダーの中にデザインした用紙を埋め込むのはすべて手作業。
申請書も検討に検討を重ねてやっと完成!ここまでで2週間。
こうして2009年8月1日!
「SOSみま~もキーホルダー登録システム」を、この大森地域で申請を開始することができたのです。
セミナーで参加者に発表してから1ヵ月半で申請を開始する・・・。
こんなはなれ業がどうしてできたのか?今振り返っても、実現に向かって動いた当人も未だにわかりません。
でも一つ言えること。ネットワークの力!この一言に尽きると思います。
あれから3年3ヶ月が過ぎました・・・。
今では大田区内で1万人を超える人たちがキーホルダーを手にしています。大田区の高齢者人口は約14万人。65歳以上の14人に1人が持っている計算になります。
みま~もで生み出した「キーホルダー登録システム」。
申請をスタートさせてまもなくから、私はこのシステムをすべての「必要」と思っている人たちに届けたいと願うようになりました。
そのためには、任意団体のみま~ものシステムとして、いつまでも大事に持っていてはいけない。
自治体の事業としてこのシステムを行なっていく方がいいと考えるようになっていました。
この事業をみま~ものものとしていたら、会の財政ももっと安定していたのかもしれません。
毎年、助成金の申請のために、膨大な資料を作成する苦労もなかったことでしょう。
でも、そうしませんでした。
興味を持ってくれた自治体には、キーホルダー登録事業を自治体で行なう効果だけでなく、申請書の内容やキーホルダーのデザインまで伝えました。
自分たちの自治体である大田区には、区の事業とするために担当課だけではなく、部長や議員にも、大田区で実施する効果を話せる機会があれば伝えていきました。
自分たちが努力して生み出したものを手放すために、生み出したとき以上の時間と労力を注ぎ込んだのです。
みま~ものメンバーたちは、そんな私の行動を最終的には理解してくれました。
区の事業にするまで冷ややかだった行政の方々も (すべてではありません。区の事業にするために一緒に苦労してくださった方も大勢います。)、区の事業となり半年でこれだけ大きな反響を得られ喜んでくれています。
当然です!
地域で働く、地域を知る専門職たちが必死に考え、生み出し、育んできたシステムなんですから!
キーホルダー登録システムは、みま~もの5年の歩みの中で生み出し、育み、そして、本来あるべきところへ手渡すことができました。
キーホルダー登録システムは、私たちにネットワークの可能性について教えてくれました。私たちの変わらない、大事な大事な財産です!
地域づくりセミナー「医療の安心!」にて、SOSみま~もキーホルダー登録システムをこの地域に生み出すと参加者に宣言する、東邦大学医療センター大森病院 医療ソーシャルワーカー Mさん!
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大田区医療ソーシャルワーカー連絡会にて、区内全ての医療機関に「SOSみま~もキーホルダー登録システム」の協力を訴えます!
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大森地域でスタートしたこのシステムも、今では大田区の事業となり、大多区に暮らす65歳以上すべての方に手渡すことが可能となりました!!
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お疲れ様です。あの瞬間から奔走された事がよく分かります。ただ~今年はお呼びがなく、ちとさみしい気持ちになりました。まだまだmswを使わない手はないですよ♪寸劇やりたいな♪
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まだまだ役割を果たしてもらいますよ!お互いジジィになるまでね[絵文字:v-11] 来年はよろしく!