介護が必要になっても自分では助けを求められない、手を挙げることのできない一人暮らしで認知症の高齢者。近隣・地域との関係を閉ざし、人との関係の絆が断ち切れている人たち・・・。
このような人たちに、本当の意味で専門職として手が届くことが、今の業務の延長線上で可能なのか?
この答えがあるとすれば、今の私は、この「おおた高齢者見守りネットワーク」(『みま~も』)を広げていくことがイコールにつながっています。
現在の地域包括支援センターの業務をしているだけでは、私たちを本当に必要としている人は見えない・・・。
たとえ見えたとしても、いきなりその人たちのところへ行ったところで、重く閉じた心の扉は当然のこと、玄関の扉を開けることすらできない。
まるで、おとぎ話の「北風と太陽」みたいです。村人のコートを脱がす力比べ・・・。
北風は何とかコートを吹き飛ばそうとする。風を強くすればするほど、相手は身構えコートをしっかりと掴んで離さない。太陽はあたたかさとともに、村人自身がコートを脱ごうという気になるために力を注ぐ・・・・。
専門職が関わること=支援。でも、地域に暮らす者同士が関わり合うことは=おたがいさま。いったいどちらが、その人の心の扉を開けることができるのでしょう・・・。
地域に暮らす人たちのあたたかさと力を合わせて、「この人たちなら、手をさしのべてもらおう・・・」と、今まで着ていた「孤立」という重いコートを脱いでもらう。
手を挙げられない、私たちを必要とする人たちのところへ届くための近道はない。いきなり私たちが、その人のところへ、その人の生活へ入り込むことは、今までの生活や価値観に土足で入るようなものです。
ネットワーク構築に近道などありません。しかし、日常的、継続的に多くの人と歯車を合わせ、つながり合うことを積み重ねていくことで、必ず効果はたしかな形で現れます。
「必要としている人たちに私たち専門職の手が届くまで・・・・」
私たちはこのみま~もの取り組みに力を注ぎ続けていきます。地域で働くみま~もの協賛事業所の専門職たちとともに・・・・。