もう4年前になるだろうか・・・、ケアマネージャー時代に60歳男性Aさんを担当した。脳梗塞を発症、高次機能障害、失語症、右片麻痺が残存、退院調整からの関わりでした。
初めてお会いしたときは、当病院の急性期病棟→回復期病棟へ移って間もない頃。本人も障害を受容できていなく、私が病室に行ったときも、目を合わせることも、話を聞いてくれることもしてくれない。
奥さんと話しをしていても、Aさんが機嫌を悪くしてしまい、様々な調整は、病院の廊下で奥さんと話しをするような形でした。
世界中を夫婦二人で船で廻り、大田区に居を構え、さあ、これからという時の発症。
奥さんの気持ちを考えると私でさえ胸が詰まりましたが、おくさんは、弱音を一切吐くことなく、毎日病院に来ては、リハビリ、言語訓練と、いつもAさんに寄り添い励ましていました。
入院中に本人のお宅を訪ね、住宅改修を実施しました。陸に上がり、二人が生活をスタートさせているはずだった家。中古家屋を購入し、Aさんが自分でリフォームを手作りで行っていた。それを奥さんが引き継いでいた・・・。
壁には愛船に付いていた時計、世界中の国で出会った人たちや風景の絵が飾られていた。そして、私が病院では見たことがない、生き生きとした表情のAさんの自画像・・・。
退院後、奥さんは働くことを想定し、Aさんが、一人でいられる時間を増やすことを目的としたケアプランを希望した。
まだ若いAさんが、家に閉じこもっての生活にならないよう、ヘルパーとの近隣への外出。途中で自宅にいる奥さんに携帯電話から連絡をする。近隣だけは、Aさんが自分で出られることを願って・・・。
ヘルパーの方にも慣れ、奥さんが外出しても混乱せず、一人でいられる時間が増えた頃、奥さんはパソコンインストラクター(1級福祉情報技術コーディネーター)の資格を取得して、少しづつ仕事に行くようになった。
来年度の地域包括支援センターの取り組み「介護予防教室」で、高齢者の方のパソコン講座を奥さんに依頼したところ、すぐに引き受けてくださいました。
先日、打ち合わせのために、事務所に訪ねてきてくれましたが、Aさんも一緒に来てくれ、打ち合わせの間ずっと同席してくれていた。
打ち合わせが終わった後、奥さんが話してくれたが、Aさんは、私と最初に出会った頃のことは覚えていないようだ。
この日のAさんには、私が出会った頃のような険しい表情はなく、自宅に飾ってあった自画像のような,そして穏やかな表情をされていた。
この4年間、奥さんのAさんへの、あたたかく、強い関わりがAさんの表情からすべて伝わってくるような気がしました。
奥さんから、「介護予防だけではなく、ぜひ、高次機能障害を取り上げた取り組みをして欲しい。そのときには、喜んで協力する !」という力強いお言葉を頂いた。
ケアマネージャーと利用者、そして利用者のご家族だったAさんご夫婦との関係が、今、新たな
出逢いなおしができた気がして感無量です。Aさん、奥さんこれからもよろしくお願いします。
高齢者見守りネットワークのキャラクター「みまーもくん」。見守りネットワークをつくる会の代表の友人が、快く書いてくださいました。見守りネットワークも、離陸準備完了です
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