ある日、私が訪問で出かけている間に、我が地域包括支援センターにスーツを着た二人の男性がやってきた。
スーツ姿の二人の男性は、地域の○○銀行の支店長・部長さん・・・。
じつは、毎日同じ時間帯に夫名義の多額の金額を下ろしにやってくる方がいて、困っているのだそうである。
自分名義の預貯金については、本人なので対応している。しかし夫はすでに亡くなっていて、引き出すことに応じることができない。
本人の中では夫はまだ生きており、「銀行がみんなで自分を騙している」と言っては、しばらくいて、帰宅する毎日が続いている。
銀行職員の2人は、相談に来たものの中々話を切り出さなかった。「高齢者の相談窓口」と聞いて訪ねてきたものの、個人情報の保護義務が、当然銀行職員にもあり、「さて、どこまで話していいものやら?」悩んでしまった。
結局、細かい話も聞けず、帰ったそうである・・・。
その話を訪問から帰ってきてから聞いて、すぐに銀行へ連絡をしてみた。
「認知症の症状が出現し、『物盗られ妄想』がある方などが、今回のように銀行に行くことは、今後も考えられること。独居の高齢者で、今回のように気づいたときに連絡を入れてくれることは、私たちもそこからその方に支援を繋いでいくことができること。」を伝え、「ぜひ、もう一度話しをしたい!」と話したところ、その日のうちに、再度たずねてきてくれた。
このときには、本社ともこの件について連絡をとってきてくれていて、詳細な話をしてくれた。
その後、銀行の心配(個人情報をどこまで伝えていいのか)も考慮し、行政職員も含め検討会を開き、行政職員・包括支援センター職員(社会福祉士)がその方の家へ訪問し、今は、定期的に包括職員が連絡を定期的にとっている。
この方は、夫が今でも生きていると思い込んでいることや物盗られ妄想は見られるが、生活面は自立されている。
ただ、今も毎日、同時刻に銀行には行って、同じ話しを毎日しているらしい。
状況をわかっている支店長・部長が必ず対応してくれているそうである。
銀行としても、自分たちだけで対応していてどうすればよいのか不安だったが、「行政・福祉が関わっている、また何かあれば相談するところがある」という安心感を持ってくれているように思う。
この方については、今後、定期的にかかわり、生活に支障がない限りは、今の暮らしを継続できるよう見守っていきたい。
今、地域包括支援センターに、
地域ネットワークづくり、
地域連携という役割が叫ばれているが、どう具体化していけばいいのかというマニュアルはない。
研修資料などで、図としてはよく出ているが、教科書どおりに上手く行くはずなどない。
地域のネットワークづくりは、自分たち包括支援センター自体が商店街の一店舗のように、「ここは何をしているところ、だからこういったときに気軽に相談していいところ」。
「行くと○○さんや□□さんがいて、話しを良く聞いてくれるから安心」という地域の一部に溶け込んでいくことが大切だと感じている。
自転車で訪問に出る、商店街を走ると、弁当屋さん、お肉屋さん、銀行の方々、路地に入ると、民生委員の方、介護者の方、ケアマネージャーなど、色んな人に声をかけられたり、呼び止められたりすることが私たちの仕事の中で何よりの勲章なのではないでしょうか・・・。
大田区役所へ行くときに、蒲田駅前で、今では珍しいチンドン屋を発見!生演奏と、軽妙な語り口に、しばし聞き惚れてしまいました。
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内容の濃い話だな~と何回も読み直しして
しまいました。 そして、毎日足を運ぶ、
このおばあちゃんが目に浮かびます。
そして、その話に耳をかたむけている
スーツ姿の銀行員の方も一緒に
目に浮かびます。
自分も何か人の為になることが
出来ると良いな~
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クッキーさんコメントありがとう!またいろんな事話しましょうね。