大田区発の地域包括ケアシステム-おおた地域見守りネットワーク(みま~も)

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2015.5.10自分を突き動かしているもの
  • 平成21年11月に書いたブログ記事、このときに感じた専門職としての限界が今の自分を動かしています・・・。
    電話対応を済ませ、一足先にMさん宅に向かった絵描きナースを追いかけた・・・。
    たたんで整えられている布団、きちんと洗われた茶碗、仏壇には菓子パンが置かれている。
    和室の端には、Mさんが最期の買い物をした日付が刻まれているレシートが下敷きに挟んで並んでいる・・・。
    整理整頓が隅々まで行き届いた部屋・・・・。 それだけに、脱ぎ捨てるように置いてある着物やコルセットが嫌でも視界に入る・・・。
    「何か感じませんか?Mさんはこの部屋にいると思いませんか?」 絵描きナースからの声にならない言葉が聞こえました。
    ケアマネージャーも、絵描きナースも、部屋には入ったものの玄関横のトイレと風呂場はまだ確認をしていなかった。私が灯りがついているトイレを開ける・・・。そこにはMさんの姿はなかった。
    「やっぱり外出してるんだ。電気がついてないお風呂場にはいるはずがない」
    お風呂場の扉を開けた・・・。洗い場に倒れているMさんがそこにいた・・・。 「絵描きナース!」
    絵描きナースが押さえるMさんの腕に、脈打つ様子はなかった・・・・。
    ケアマネージャーやヘルパーに常日頃、 「自分がどうなろうと、あなたたちには迷惑をかけないからね」 と話していたMさん。
    家にいるときには必ずチェーンをしていたMさんが、この日だけはチェーンをしていなかった。私たちが玄関から入れるように気づかっていたのでしょうか・・・。
    「今日はデイケア利用日。連絡をしなければきっと、あの人たちのことだから(デイケア相談員・ケアマネージャー)、気づいてくれるでしょう・・・」   Mさんの声が聞こえてくるようです。
    かかわってくれた人たちには迷惑をかけず、だけれども何かあったときには自分を見つけやすいように・・・。
    Mさんはこんな最期まで心配りをしてくれていたんでは・・・、と思わず感じてしまう。
    Mさんの部屋で見つかった鍵で警察官が戸締りをしてMさんのご遺体を運んでいく。
    「澤登さん、あれっ!」
    警察官が持っているMさんの鍵には、「おおた高齢者見守りネットワーク」で取り組んでいるSOSキーホルダーがついていた。
    先月でしょうか・・・。SOSキーホルダー登録のために事務所に訪れたMさん。登録が終わり、自宅の鍵にキーホルダーを付けたいが、力が入らず私が鍵に付けてあげたのでした。
    「これで安心!」 
    専門職である自分の無力さが大波のように自分に襲いかかってくる。無念の想いが駆け巡る。これ以上は何もできない。仕方のないこと・・・。
    でも、今回だけは、専門職である自分の無力さを責めたい。この無念さを自分のエネルギーに変えたい・・・。
    この想いを、強く強く感じている。
    Mさんの最期の姿が今も目に焼き付いている。自分を奮い立たせよう。今、感じている様々な想いを心に刻もう。何も大きなことを言うつもりはない。
    せめて、自分が働くこの地域だけは、私たち専門職に高齢者の異変、気づきがすぐに届く。
    そんな本当の意味でのあたたかい地域ぐるみのつながりを築いていくことを誓いたい。
    20150425 063816

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