1年ぶりにその方に会った・・・・。
「今日は一個人として話しをしに来ました・・・。」
( わかっている・・・。
自分の休暇にわざわざやってくる。
その組織の自分としてではなく、一個人として今日は会いたい。その想いは来る前からわかっている。
だから・・・、
俺からは何も言わない。今日は、あなたそのもので、話したいことをすべて話してごらん・・・。 )
この方は、話し出しました・・・。
一年分・・・、いえ、その前からのことも、そして、これからのことも、夢も・・・・。
気がつくと、その方の目から涙がこみ上げていた・・・。
机の上のティッシュをあげた。それでも、話しを続けていた。
(もういい!何も言わなくていい!
会いに来てくれた。元気な顔を見せてくれた。苦しかったな、お前一人が悪いんじゃない!一人で抱え込むな!
精いっぱい肩肘張って、ここまでやってきたんだね。もう楽になれ!一緒にやろう!もう心に嫌なことを何一つ残すな!)
涙を拭き、夢を語り出したこの方に、一言だけ言わせてもらった。
「一年も自分で抱え込んで、心を痛めて、水くさいぞ!どうして次の日に来なかった!」
「本当にすいませんでした・・・。」
こう言ったこの方の顔には、来た時とはちがう笑顔があった。ずっと前の、この方と会ったばかりの憎めない笑顔が・・・。
人間は、自分というものにいろいろなものを着込んでいる。
歳を重ねれば重ねるほど、自分に着込んでいるものでしか、自分を見せることができなくなっていくこともある。
本当の自分を見せないことを、いつしか気がつかずに身につけていってしまう。
否定はしない・・・。でも、時にそれが、自分を追い込んでしまうこともある。
今日は、自分からは何も話さないと決めていた。
どのような話し合いの結果になるかも、すべてこの方任せ。
そして、その方のすべてを受け入れました。
会って、目を見て話す。
周りからの雑音ではなく、その方の話しを聞く。
結局、人間と人間との間なんて、目を見て、その人の思いにふれてみないとわからないこともある。
「またな!」
事務所の玄関を出たこの方に私が声をかけると、振り向いて手を振ってくれました。
気がつくと、もう午前中の終わり!
さぁ、これから、仕事にかかるとしますかぁ!