形あるものは、いつかはなくなる・・・。
しかし京都・奈良の仏閣、仏像などの建造物に、人は魅了され心ひかれる・・・。それは、信仰心だけではないのではないでしょうか?
形あるものに関わった多くの人たち、その人たちが築いたその時代の文化、その息吹に人はひきつけられるのでしょう。
形はそこにただ現存するもの。
そこに関わる人が築いた過程があって、形あるものに生命が吹き込まれる。
これが、人だけが形作ることができる「文化」。
仏像や芸術そのものが文化ではなく、人と人がつながり合い、生活を育んできた中に、「文化」は根づいていく。
心こめ、ただ一心に、人の力を信じて、結んでいく。つないでいく。
「物」ではないんです。「結果」ではないんです。
物や結果を追い求めて、何かを形作ろうとするから、そこに「豊かさ」が欠如する。
人と人が心豊かにつながっていく「過程」・・・。これ以上にかけがえのないものはないのです。これが人と人が創る「文化」なんです。
時代が進歩し、物が豊かにあふれ、一人ひとりのプライバシーが大切にされる社会。でも、それが形だけになっていませんか?
「豊かさ」とは何なのでしょう・・・・。
人と向き合うことを業としている者として考えるとき、何かを形作ろうとするとき、「豊かさとは何か?」このことだけはいつも心においておきたい。
「やらなければいけないから形作る」それだけはやめた方がいい。自分も、一緒にやろうとする人たちも、すり減っていくだけですから。長続きしませんから。