地域づくりについて、改めて基本に立ち返って考えてみる・・・。
「いい町」というのはそこに住み続けられる町、いつまでもそこに住んでいたいと思える町なんだと思います。
その視点から考えると、「いい町」=「便利な町」とは結びつきません。
大型ショッピングモールが建ち並び、一歩外に出れば何でも欲しい物が揃う。都会へのアクセスもいい。たしかにライフスタイルの一時期には魅力的かもしれません。しかし、それだけでは暮らし続けていくための安心にはつながらないんです。
そこに、生きていくための
豊かさへのもう一つの道を探ることが必要になってくるんです。
それは、住み続けられる、住み続ける地域に自分たちがしていくということ。子どもたちがそこで育ち、自分たちが死ぬまで暮らし続ける地域にするということです。
そのためには、自分たちが暮らす町を知るためにゆっくり散歩ができる散歩道が必要でしょう・・・。
その散歩道は舗装された道ではなく、土をしっかり踏みしめられる道であったらいいと思います。
緑がいっぱいで一日ゆったりできる公園もあったらいいでしょう。気軽に食事がとれる場所もそこにあったらいいと思います。一人暮らしの高齢者もあそこだったら行ってみようかなぁ・・・と思える子どもから大人まで集える場所です。
景色の変わらないマシーンの上を歩くようなものでは体験できない、歩く楽しみ・歩きながら見る景色がそこには生まれてきます。様々な世代間の交流も育まれていくことでしょう。
介護予防と言いながら、歩ける場所を提供できない自治体・行政というのは、豊かさの発想が欠けていると言わざるを得ません。美しい景色を残す、ゆったり歩ける場所、集うことができる場、そんな町づくりが、直接的には結びつかない閉じこもり予防につながることもあるんです。
人が暮らし続けていくための豊かさを考える発想が、高齢者を見守る、支える町づくりを考えるための大切なもう一つの道につながっているような気がしてなりません。
誰でもいつかは助けたり助けられたりするはず。子どもがいる家庭、一人で暮らす高齢者、そこに暮らす人たちがどうやったらつながりあえるかという視点に立った町づくり、地域づくりが必要なのでしょう。
自分が暮らす町に愛着が持てる、すばらしいことだと思います。それはものの豊かさだけでは築くことができない、だからこそ、人がつながることができる町づくりが重要なんです。
地域は自分たちの暮らしを、生活を創るんです。この基本に立って今年一年、そこに暮らす人、そこに働く人でしかできない地域づくりを皆さんと考え合いたいと思います。