大田区発の地域包括ケアシステム-おおた地域見守りネットワーク(みま~も)

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2010.2.1介入を拒む人へ・・・
  •  休日、介護研究をされているAさんから、「沢○さんの話しを聞きたい!」と連絡が入りました・・・。
     きっかけは、この方が聞いた、ある介護者の話し・・・。
     一線でバリバリ働いていたけれども、半身不随と重度の認知症の母を抱え、退職せざる得なくなった。
     社会人でなくなった男性、イライラから声を荒げて近所から「虐待息子」と言われ、行政からは「困難事例」のレッテルを貼られる。そんな彼を救ったのが、じっくりと話を聞いてくれたケアマネとご近所さん・・・。
     この話を聞いて、Aさんは、私に連絡をくれたのでした・・・。ここからは、Aさんが私にくれたメッセージの大まかな概要です。 
     『この介護者は、最初は、ずっと包括やケアマネや民生委員に対し、「大丈夫だから」と言って、突っぱねていたそうです。その本心は、 「自分にもプライドがあり、知らない人に本音は話せないし、近所の目も気になるし・・・」 だそうです。
     私は、様々な地域の地域包括支援センターに、介入困難な事例への対応を聞いてまわりました。で、一つの大事なことは、じっくりと話を聞く、時間をかけて信頼関係を構築するかな?と思ったのですが・・・。しかし、現在は、それをすることが難しい環境にあるのでしょうか?どうでしょう? 
     利用者や介護者にも専門職に対する誤解がある気がしました。で、日々に接している利用者や介護者と専門職がお互いの本音を知り合う機会って、日常の仕事であるんでしょうか?
     何か、色々な研修に参加しても、研修を企画主催する方が、実際を知らない気がしました。そして、この間も、在宅ケア推進の会議に出たり、厚生労働省の研究会に行ったりしても、制度を作る学者や役人が現実を一番知らなくて、的外れな気がするんです・・・。』

     この連絡を受けて、自分の、今、現在考えていることをAさんに文書にて送りました。
     
     『実際には、包括支援センターも、ケアマネも、業務に追われている日々です・・・。しかし、「専門職として、何を大事にするか、優先とするか」をきちんと自分におかなくてはいけないと思っています。
     じっくりと話を聞く。時間をかけて信頼関係を構築することが、決してできない環境か?と問われれば、私は「そうではない」と答えます。
     ただ、このじっくり時間をかけて、信頼関係を構築する。という意味を、専門職個々の経験や認識不足で、とらえちがう怖さも一方で感じています。
     私たちは、対象者と向き合うときに、いつも、「専門職として関わっているということを忘れてはいけません。そして、対象となる人たちも、有能な専門職にじっくり話しを聞いてもらい、信頼したいと思っているのです。
     「時間をかけて信頼関係を構築する」という言葉を、認識不足から、「うんうん」と聞くのみ。聞くだけだから、そこに問題意識はない。そこに、専門職としての援助の方向のかけらも見られない。
     でも、これを、「信頼関係の構築の一歩」と勘違いしている、優しさのバーゲンセールをしている専門職が多いのも、また、事実です。
     Aさんから頂いた介護者の話で大切なことは、対象者に向き合う、専門職としてのきちんとした姿勢があって、時間をかけて向き合ってきた成果なのではないでしょうか?
     専門職としてこの姿勢に立つということが、今後大切だと思っているのですが、多くの専門職が認識として持っていない。問題意識を持っていない。そして研修などでは理論として学ぶ場がないという現実があります。
     介入を拒む人に、「専門職」というきちんとした立場に立って、時間をかけて向き合い、信頼関係を構築する過程が求められているのだと思います。』

     介入を拒む人へ、個々専門職のバイタリティーで関わって、偶然、その人の懐に入ることができるかもしれません。しかし、長期の関わりが必要とされるこのような人たちに、やさしさやバイタリティーを全面に出して最初は近づけたとしても、長期に関わっていくことは不可能です。
     バイタリティーや、やさしさを拒否して、今のその人がいるのです。そこにさらに、同じように入り込むことはしてはなりません。その人や介護者が、専門職の話しを受け入れ、自分の人生を自分たちで決定していく過程を踏まなければいけないんです。
     このような人たちは、やさしさや、人の良さではなく、専門職の、真剣に自分に向き合う姿勢を求めているような気がしてなりません。
     この件については、この何年間か、問題意識を持ち続けてきました。しかし、自分を納得させるだけの学びの場や、議論の場はありませんでした。
     それがないから、私は「おおた高齢者見守りネットワーク」を発足させたんです。
     専門職が、地域づくりという共通の目的を持ち、地域に出かけていき、地域住民や、利用者・介護者に、専門職が求められているものは何かを本当の意味で知っていく。
     この学びこそが、今、専門職に必要なこと。この学びがあるからこそ、問題意識を、自分で構築できる専門職となることにつながると信じて・・・。
     Aさんとは、後日ゆっくり話す機会を設けることにしました。やっと、自分が学びたい、知りたい、つかみたいと思っていることに近づくことができそうです。
     自分が必要だと思っていることを、議論できる機会、学ぶ機会、整理することのできる機会・・・。同じ問題意識を持ち、話し合うことができる人が見つかるということは、やはりうれしいものですね。
     Aさんと、この件についてはじっくり話し合い、考えていきたいと思います。
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    “介入を拒む人へ・・・” への1件のコメント

    1. N より:

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      なんてタイミングいいんでしょう?
      みま~もにもあらためてソーシャルワークを
      盛り込みたいと考えていましたので・・・
      スーパービジョン導入ですね!

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